写真といっても普通の写真ではありません。
台湾が盛んらしいのですが、中国の人たちは結婚するときに、
式や披露宴とは別に結婚写真を撮ります。
衣装も数着、大きなパネルや立派なアルバムを作って記念にするのです。
中国や台湾を旅行すると「婚紗撮影」という看板を見かけると思いますが、
そこが写真館なのです。
一般に衣装何着かとヘアメイク、それに撮影（10枚ぐらいから）でセットになっていて、
安いものは300元くらいからすごいのになると1000元を越えるものまであります。
そして、結婚の写真とは別に「個人芸術写真」というのも撮ってもらうことができます。
これは結婚写真とほぼ同じ、違うのは相手がいないこと・・・。
日本ではめったにないものなので、留学の記念に撮る人たちも結構います。
普段とはまったく別人になるので、写真を見せてもらうとおもしろい！
そして迷った末、私も行ってきました。
天津では和平路に写真館が集中しています。
どこがいいかわからなかったので、とりあえず値段を聞きに1つの店に入りました。
ところがセールスがうまく、押しきられ、結局ほかの店を見ることなく、
そこで予約してしまいました。
金額は388元。大きなパネルはいらないから安くして欲しい、とねばったのですが、
値引きはできないと言われてしまいました。
そのかわり、写真の枚数を増やすこと、衣装を増やすこと、を約束してくれました。
衣装は4着、写真は30枚、そのうち19枚を加工して
アルバムに入れてくれることになりました。
撮影当日、まずは衣装の取替えが簡単なように、先方で貸してくれたシャツを着ます。
ジーンズははいたままでOK。
それからメイク。
眉毛をそっていいか聞かれ、いい、と答えたら、
あとで見たらただでさえ少ない眉毛がほとんどなくなっていました。
ほとんど目をつぶっていたので、どうなってるかわからないまま、
それでもアイメイクのときは「目を開けて」「はい、つぶって」と指示されます。
奥二重の目もテープをはって、くっきり二重になり、さらにつけまつげ！
メークが終わってみると真っ白な顔に目の縁取りも濃く、まるで歌舞伎役者のよう！
それから衣装選びです。どれがいいかわからないまま、
青いドレス、赤いドレス、赤のチャイナ服っぽいドレス、紫のドレスを
ほとんどお店の人に薦められるままに選びました。
白いドレスもかなり強く薦められましたが、これは拒否。
一応未婚なので・・・。
それから衣装に着替えて、ヘアアレンジ。
衣装に合わせたアクセサリーや髪飾りもつけてくれます。
衣装で心配だったのはサイズが入るかどうか・・・。
中国に来て約1年半、ジンクス（中国に留学した女性は太る）どおり、
来る前より太ってしまったのです。
去年撮っておけばよかったかな、と思ったりもしました。
衣装はワンサイズですが、小さければ後ろのファスナーをあげずに安全ピンでとめたり、
あて布をしてそれを安全ピンでとめたりしました。
写真に写ったときにはまさか後ろがそんな風にとめてあるとは思えないし、
また、ドレスの下はジーンズにスニーカーなんて、わかりもしません。
もうひとつ不思議だったのは、受付の人やメイクの人、カメラマンにまで
「普段着は持ってきてないの？」「どうして普段着の写真を撮らないの？」と
しつこく聞かれたことです。
普段着だったら自分でも撮れるし、わざわざ高いお金を払わなくても・・・
と思うのですが。
スタジオは2階にありました。
カメラマンと助手が1人ずつ。どちらも若い男の人。
「ボクの話す言葉わかる？」と言われながら、
背景を描いたスクリーンの前に立ったり、花を持ったり、椅子に座ったり、
言われる通りにポーズをとりました。
横向きで背中をそらして上半身は前に向けて顔はかたむけて目はカメラ・・・などなど、大変。
指先の形や花の持ち方まで細かく指示されました。
「はい、笑って」「もっと大きく笑って」と言われるのですが、
私は作り笑いができないので本当に大変。
結局少し歯を見せて、唇の端を上にあげぎみにするくらいしかできず、
どう考えても笑顔ではないと思いました。
何枚か撮ったあとで「衣装を換えてきて」と言われてまた下へ。
衣装を換えて、髪型も換えてもらって、再度スタジオへ。
こうして4着の衣装で写真を撮ってもらいました。
メイクの人もカメラマンも段々慣れて来て、私に日本のことを聞いてきました。
メイクの人は日本の洋服のことや、留学のこと、
カメラマンの人は音楽のこと（安室奈美恵やチャゲ＆飛鳥のこと）など。
写真館に入ってから全部終わって自分の服に着替える終わるまで約4時間。
1週間後に写真を選びに来るように言われました。
1週間後に行くと、キャビネサイズ（だと思う）の写真になっていました。
予想通り、顔はひきつったような表情でとても笑顔には見えない・・・。
お店の人は「とてもきれい！」「素敵！」と言ってくれるのですが、
自分ではとてもそうとは思えません。
1枚ずつ見ながら、心の中では「ギャー」と叫んでいました。
アルバムに入れる19枚を選ぶのは至難の技。
やっとの思いで選び終わったら「どれを表紙にするか決めて下さい」。
アルバムの表紙がくりぬいてあって、そこにも写真をはめ込むようになっているのです。
これまた至難の技でやっと1枚選びました。
そしてアルバム自体を選んで終了。
できあがりは約1ヶ月後です。
できあがったアルバムを受け取ってきました。
アルバムに入れなかった写真とネガもくれました。
ところで、これを人に見せるかどうか、考えどころです。
すでに帰国した友人たちは
「いいネタになるよ」「人に見せないなんて、何のために撮ったの」と言うのですが・・・。
どうしよう・・・。
とりあえず、インターネット上で公開することは絶対にありません。
悪しからず・・・
ああ、恥ずかしい・・・。
面白かったけど。
