天津の夏は暑い！（2000年7月4日--中国滞在305日め）

日本でもニュースになったかもしれませんが、
こちらで40度を越える暑い日がありました。
7月1日（土）です。
私は試験勉強のため、食事のときしか外に出なかったのですが、
あとで40度あったと聞いて驚きました。
翌2日の新聞≪毎日新報≫をちょっと訳してみました。

☆8:45　濱江道の路面　38.9度。勧業場の開店を待つ。
朝8時45分、勧業場（*1）は開店前だったが、濱江道（*2）にはすでに暑さが
襲ってくることを察知した人たちが集まっていた。
シャッターも開いていないのに、中からもれてくるエアコンの風を競って
200人余りの人がシャッターのまわりに貼りつき、
かすかな冷風にあたっていた。
入り口に押しかけているのは買物客だけでなく、水筒を手に、
小型の折りたたみ式イスを肩に、この中で涼もうという人も少なくなかった。
ある婦人は前夜の天気予報で予想最高気温が39度と聞き、
家にはエアコンもないし、家にいてもやることもないので、
デパートに涼みに来た、と話した。

☆11:15　地震記念碑　43.2度。かき氷屋は閑古鳥が鳴く。
11時45分ごろ、地震記念碑のそばのかき氷の屋台はひっそりしていて、
客は1人もいなかった。
パラソルの下の温度計は43.2度。
こんな酷暑の中、かき氷を食べに来て耐えられる人はいないだろう。
屋台の店主すらこの暑さには耐えきれず、かといって
どこに涼みに行けばいいのかわからないと語った。

☆12:00　動物園　42度。客より動物の方が元気。
12時。天津動物園の地面の温度は42度。
普段は人間が動物園に動物を見に行くのだが、この時は動物が人間を見ていた。
トラは穴に逃げ込み、山から下りようともしない。
ライオンも人を脅かすようなほえ声を出してくれない。
黒熊は池に入って水浴びをし、白熊は氷をかじってのんびりしている。
1番人気のパンダは仰向けになって居眠り。
観光客があれこれ考えても動物たちはちょっと目を上げるだけで
体を動かそうともしない。
人間たちはがっかりして、木陰に行き、缶ジュースを飲んで涼むしかなかった。

☆13:30　バスの車内　41度。座席も手すりもやけどしそうに熱い。
13時30分ごろ、記者は南楼（*3）から659番のバスに乗った。
バスの窓はすべて開けられ、日よけのスクリーンはすべて下されていた。
車内の座席も手すりも、さわってみるとすべてやけどしそうに熱かった。
温度計で計ってみたら41度近かった。
車内の乗客はたった4名。
だれもが日陰の方の席に座り、帽子や扇子であおぐ手は止まることがなく、
さらにぬらしたタオルで顔の汗を拭いていた。
運転手も暑さで背中は汗びっしょり、肩にはぬらしたタオルをかけていた。
運転手によると、こんなに暑くては外へ出る人は少なく、
普段なら少なくとも100元以上の収入があるこの路線も、
この日は50元にもならないだろう、とのこと。

☆13:50　天津駅　42度。くつみがき業もつらい。
14時にならないというのに、パラソルがそこらじゅうで開かれ、夏の天津の風景を呈していた。
13時50分、天津駅前。
黄色と青のパラソルの下で、くつみがきをしている魯さんは
客が寄ってくれることを期待して、時折通行人に声をかけていた。
天気が暑いせいで皆サンダルや布製のくつをはいていて、
皮ぐつをはく人が少なくてね、と魯さんは語った。
商売もままならず早々に引き上げる同業者も多かった。
パラソルの外の燃えるような日差しを見て、
魯さんはがっかりした表情を浮かべていたが、なすすべもなかった。

☆14:25　水上公園　41度。遊園地に人はなく。
水上公園（*4）に遊びに来る人も昨日は極端に少なく、
主な遊楽施設にはほとんど客はいなかった。
あずまやや木陰で日差しを避けて休んでいる人が数人見かけられた。
水辺が最高の遊び場であり、貸しボートを借りて湖上を漂って、やっと涼しさを感じられた。

☆14:50　河西区の工事現場　42度。気温が高くとも仕事は休まず。
14時50分ごろ、記者は温度計を手に、河西区のある工事現場に入ってみた。
日差しのあたる中、温度計は42度にまで上がった。
工事に携わっている人たちはほとんど皆、上半身裸で汗だらけ。
レンガを積んでいる作業者はシャツに汗がしみ込み、体にはりついており、
汗はびしょびしょのシャツを伝って流れていた。
飲み水用タンクの前にもひっきりなしに誰かが行って水を飲み、
いっぱいだったタンクもすぐにカラになってしまった。

☆15:00　天津大学キャンパス　41度。水泳をする人が倍増。
天大のプールは開いたばかりというのに、水泳をする人が次々にやってきた。
ここで働く張氏によると、昨日の昼間は1000人余りの人がやってきたが、
中でも3時をすぎてからの人が多かったという。
ほとんどが中学生だったが、週末ということで、家族3人でやってくる人も少なくなかった。
第1プールの范氏によると、第1プールは毎日100人ほどの人が来るが昨日は200人を超えた。
第2プールは14時30分から16時の間に限って言えば170人が水遊びをしたが、
これはいつもと比べるとかなりの数になるという。

☆16:00　第一中心病院正門前　40度。大病院では暑気あたりなし。
こげるような暑さだったにもかかわらず、市内の各大病院で暑気あたりの患者は出なかった。
16時、第一中心病院の救急治療室の趙医師は、
暑気あたりのせいで病院に来た人はひとりもいない、と語った。
総合病院の李医師も昨日は暑気あたりや気温のせいで病気になった人はいなかったと言う。
　気温が高くなったばかりの時には暑気あたりの患者が出ることはあまりなく、
この天気が何日も続けば出てくるだろう、と趙医師は語った。
　また李医師は、皆、暑さを避け、気温を下げる工夫をしているせいで
暑気あたりの人が出ないのではないかと考えているそうだ。

☆17:30　室外　39度。電力の故障は少ない。
室外の温度は40度に近く、戸外は暑くて耐えきれなかった。
各企業も家庭もエアコンをつけている。
エアコンを集中的に使い、電力使用量が突然増えたわけだが、
各電力局で受けた修理依頼は少なく、
17時30分までで、市内の3つの電力局では44件にすぎなかった。
市内の低圧電気網が改造されたため、今年の修理状況も改善されたようだ。
城東では24件、城西では11件、城南では9件。そのうち高圧のは1件のみだったので、
停電した地域も比較的少なかった。
城東電力局の緊急修理係の責任者によると、事故の原因の中でもっとも多いのは、
エアコンをつけっ放しにしたため、電力の負担が大きくなってしまったというもの。
昨年のこの時期と比べて今年の修理件数は少なくなっており、昨年の5分の1である。
今後の修理もそれほど多くなさそうだ。

以上

【注釈】
*1　勧業場・・・濱江道にある天津の老舗デパート。
*2　濱江道・・・天津1番の繁華街。ブティックやデパートが集まる。
*3　南楼・・・≪毎日新報≫を発行する天津日報社があるところ。
*4　水上公園・・・天津名物のひとつ。人工の大きな湖があり、中には動物園や遊園地もある。