こんな映画見ました!
2007年11月
『タロットカード殺人事件』
(原題『Scoop』 / 2006年 / イギリス・アメリカ映画 / 95分)
監督=ウディ・アレン
出演=スカーレット・ヨハンソン、ウディ・アレン、ヒュー・ジャックマン
渋谷BUNKAMURAル・シネマにて
【感想】 ミステリ・コメディだった。観客はもう少し笑ってもいいと思うけど、
あまり笑い声は起こらなかった。
でも残念なのは邦題。原題どおりでは味気ないにしても、この陳腐なタイトル。
クリスティっぽさでも狙っていたのだろうか。
物語の中で、タロットカード連続殺人事件は話題になり、それを軸に話は
展開していくけれど、決してそれが主題になることはない。
だから映画のタイトルにすべきじゃないし、キャッチコピーが「恋の行方も
犯人もタロットカードだけが知っている」っていうのは、全然当たってない。
タロットカードは何も知らないのだ。
冒頭は三途の川を渡る船から始まる。船の舳先に立つのは死神。
西洋ではこうやって三途の川を渡ると思われているのか、と面白かった。
死神の目を盗んでこの世に戻ってくる幽霊の姿を、とりつかれた(?)人
だけでなく、誰にでも見えるところも面白い。
そのおかげで手品師も犯人探しを手伝う羽目になる。
この手品師がウディ・アレンで、舞台に出てきたとたん、ものすごく怪しげな
インチキくさい感じ。インチキ・マジシャンなわけではないけれど。
今まで見た中で、スカーレット・ヨハンソン、一番よかったかな。
ジャーナリストにはむいていないと思うけど。
最後は「えー、そんなぁ」と思うところもありつつ(でもちゃんと伏線はあった)、
それを越えた笑いで収めていたのはさすが。
映画はロンドンでの話、でも“探偵役”の2人はアメリカ人。2人の会話で
「ロンドンに永住するか」という話が出てきた。
なんだかウディ・アレンの本心のような気がした。
そういえば、今撮っている新作はスペインだというし・・・
かつてニューヨークから一歩も出なかった人とは思えない。
相変わらず街の使い方はうまく、以前はウディ・アレンの映画を見るとNYに
行きたくなったけど、今回もロンドンに行きたくなった。もちろんお金持ちの
別荘なんかは縁がないけれど・・・
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『公園』
(原題『公園』 / 2007年 / 中国映画 / 97分)
監督=尹麗川(イン・リーチュアン)
出演=李佳(リー・ジア)、王徳順(ワン・ダーシュン)、徐濤(シイ・タオ)
埼玉会館大ホール(彩の国さいたま中国映画祭)にて
【感想】 田舎から出てきた父親が、ひとり娘のアパートで暮らしているうちに、
娘のために結婚相手を探そうと、連日履歴書と写真を持って公園へ行く。
娘には恋人がいたけれど、定職もなく結婚の予定もなく、結局うまくいかない。
父と娘、娘の同僚や恋人、また公園見合いで出会った母子、いろいろな人との
関係や交流の中で、やっぱり父と娘の絆を再確認させられるという話。
最近、自分の両親も年をとったなあ、と実感させられることがあり、他人事では
ない部分もあった。
主人公も、あまり父親と話をしないけれど、それでも時々、今まで言えなかった
ことを言ってみたり、公園で取材された父親の映像を見て気持ちがわかったり、
少しずつ理解しあえていたところはよかった。
「お父さんが私を心配するように、私もお父さんを心配している」というのは、
どの子供でも抱いている思いだと思う。
少しつらいけれど、ほっとできるような映画だった。
文化や習慣が違っても親子の感情は万国共通だろう。この映画を見たら、
ますます親を思う気持ちが強くなるかもしれない。
ところで、この、公園で親同士が自分の子供の写真や履歴書を持って相手探しを
するというのは私も新聞で読んだことがある。中国では流行っているらしい。
それがいいのか悪いのか(子供にとってはありがた迷惑かもしれない・・・)。
見合いの相手として、いろいろな人がワンカットずつ出てきたけど、その中に
突然、王学兵が出てきたのでビックリ。カメオ出演かと思ったら、そのあとも
いろいろ交流があり、まさかのオチをつけてくれた。
舞台は昆明で、監督のインタビューを読むと、雲南省のプロジェクトで、雲南省を
舞台にした映画なら何でもよかったらしい。
昆明も行ってみたいところのひとつ。いつか行こう。
全然話は違うけど、主人公が着ているTシャツがどれも可愛かった。
インタビューの中で、監督の手持ちのものを着てもらった、と書かれていた。
センスのいい監督だなあ(私と合うだけ・・・?)
そして、中国系の映画でいつも気になることは、食事の時に両ひじをついて
ご飯を食べること。最初はひじをついていることに気づかず(概念にないから)
食事の時に姿勢が悪いなあ、と思っていた。その原因は両ひじついているから、
自然と体が前のめりになる、ということに気づいてからは気になって気になって。
この映画でも何度も食事のシーンが出てくるけど、やっぱりひじをついてご飯を
食べていた。文化の違いではあるけれど、とってもお行儀悪く見えてしまうのだ。
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『それぞれのシネマ』
(原題『Chacun Son Cinema』 / 2007年 / フランスほかの映画 / 119分)
監督=テオ・アンゲロプロス、オリヴィエ・アサイヤス、ビレ・アウグスト、ジェーン・
カンピオン、ユーセフ・シャヒーン、チェン・カイコー、マイケル・チミノ、イーサン&
ジョエル・コーエン、デヴィッド・クローネンバーグ、ジャン=ピエール&リュック・
ダルデンヌ、マノエル・デ・オリヴェイラ、レイモン・ドゥパルドン、アトム・エゴヤン、
アモス・ギタイ、ホウ・シャオシェン、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、アキ・
カウリスマキ、アッバス・キアロスタミ、北野武、アンドレイ・コンチャロフスキー、
クロード・ルルーシュ、ケン・ローチ、ナンニ・モレッティ、ロマン・ポランスキー、
ラウール・ルイス、ウォルター・サレス、エリア・スレイマン、ツァイ・ミンリャン、
ガス・ヴァン・サント、ラース・フォン・トリアー、ヴィム・ヴェンダース、ウォン・
カーウァイ、チャン・イーモウ
出演=(略)
東京国際フォーラム・ホールC(東京フィルメックス)にて
【感想】 今年の東京フィルメックスのオープニング作品。
上映前にオープニングセレモニーがあったけれど、すっかり寝てしまった・・・
今年は審査員にカンヌ映画祭の代表補佐という方がいて、この映画の説明も
していたようだけど、聞いていなかった。
この映画はカンヌ映画祭60回記念で、世界中の監督に3分間の映画館に
関する映画を撮ってもらった、というもの。監督は31人&2組。全部で33作品だ。
知っている監督、知らない監督、しばらく作品を見ていなかった監督、よく見る
監督などなど、やっぱり各監督の色というのはあるらしい。
特に中華系の監督については、映画を見れば誰が撮ったものかわかる。
チャン・イーモウとチェン・カイコーの題材が似てしまったのも中国のちょっと前の
監督ならでは、かな。新世代の監督ならまた違ったものを撮るだろう。
(題材は田舎での野外上映。それを子供たちを主人公に描いていた)
全体に先進国の映画館はガラガラで客は登場人物のみ。途上国と思われる国の
映画館はみんなが映画を楽しむ様子が描かれているような気がした。
すでにどれが誰の作品だか覚えていないのが多いけれど、衝撃的だったのは、
映画を楽しむ中、避難命令が出た直後、爆撃を受けてみんなが即死してしまった
もの。ハイファ、とあったからパレスチナなのだろう。最初のうちは、ハイファも
こんなに若者たちがオシャレに映画を楽しめる街になっているのか、と思って見て
いた。(PANTAの歌で「ライラのバラード」というのがあり、その中で、ライラは
半世紀過ぎても故郷であるハイファに帰れない、と歌われているので)
映画の最中にキスに夢中になっている女性のバッグを盗む男。その後近くの
レストランで食事をしていると、映画館から出てきたカップルがきょろきょろしながら
携帯で電話をするのが見える。そしてバッグの中で鳴った電話に出る犯人・・・
出るかなあ、普通、と思ってしまった。
好きだったのは、親子でチケット売り場に並びながら、何を見るか決めかねていて、
並んでいるほかの客からは苦情が出る中、最後には「サッカーを見にいこう」という
オチのもの。映画へのオマージュとしてはどうかと思うけど。
一番のお気に入りはブラジルの小さな映画館の前で「この映画はカンヌで賞を
とった」と友達に自慢する男とそれを聞く男。これが掛け合い漫才みたいにブラジル
版ラップといった風なのだ。「実はカンヌに行ったことはない」「情報はネットで」という
オチが現代的。
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『Exiled 放・逐(原題)』
(原題『放逐』 / 2006年 / 香港映画 / 109分)
監督=ジョニー・トー(杜琪峰)
出演=アンソニー・ウォン(黄秋生)、フランシス・ン(呉鎮宇)、ロイ・チョン(張耀揚)
有楽町朝日ホール(東京フィルメックス)にて
【感想】 面白かった。
主要登場人物が『ミッション 非情の掟』と重なっていたせいもあって、期待が
高まった。
ウーという男を訪ねてくる2組の男たち。1組はウーを守りたくて、1組はウーを
殺したくて、でも実は元々が幼馴染の5人だった。
ということで、銃撃戦が突然、引越しの手伝い&食事になり、最後は記念写真まで
撮る。この辺の硬軟のつけ方がいい。
映画の前に監督のメッセージとして、「この映画は休暇のつもりで撮ったもので、
とても楽しく撮影できた」というくだりがあった。その辺の力の抜け方がよかったのかも。
あと、公園でウーを待っているときの4人の距離感ある構図もいい。
途中何度かある銃撃戦は、誰が誰を撃っているのかわからないし、やられたのか
どうか(実際みんな不死身でやられてない・・・)さえわからない。
そして男4人での逃避行。女4人なら私にも想像がつくけれど、中年の男4人で一緒に
行動って、どんな感じなんだろう、と興味深かった。結構楽しそう。
全編が硬軟の起伏のある流れで、すごくうまいなと思った。
夫を殺された、赤ん坊を抱えた妻が一番男らしかったな。彼女が真相を知ることは
ないのだろうけど。
記念撮影って、楽しいけど悲しいものなんだね。
カッコよくて、楽しく見た最後は、ちょっぴり涙が出た。
それにしても久しぶりに見る呉鎮宇、やっぱりカッコいい。顔のつくりはどちらかと
いえば悪いほうだと思うんだけど、どうしてこんなにカッコいいのだろう。
表情がいいのと、やっぱり立ち姿がりりしい。見ていてドキドキするほど。
でもみんなカッコよかったよ。
それから銃撃戦でのスローな音楽も印象的。
タランティーノが好きそうだな、と思いながら見ていた。
来年日本公開が決まっているらしいので、そのときにはぜひまた見に行きたい。
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『once ダブリンの街角で』
(原題『once』 / 2006年 / アイルランド映画 / 87分)
監督=ジョン・カーニー
出演=グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ、ヒュー・ウォルシュ
渋谷シネアミューズにて
【感想】 ダブリンのストリートミュージシャンとその人に話しかけたチェコ移民女性。
お互いに思う人がいるけど、その人とうまくいっていない狭間で出会い、引かれて
いく・・・という中で、音楽が2人をつなげる。
ドロドロした話にもできるだろうけど、音楽があったせいか、さわやかだった。
ダブリンの街角もいい。行ってみたくなる。
チェコ移民の女性のカタコトの英語も可愛い。
それにしても自分のことは全然話さないのに、「この歌は誰に書いたの」「その人は
いまどこにいるの」などなど、初対面で根掘り葉掘り聞くのは、外国人ならでは?
彼の曲作りで、別れた(というか自分を捨てた)彼女の映像をパソコンに映しながら、
その彼女に向かって歌を作るというのは驚いた。思いの深さの演出? なのに、
チェコ移民にも惹かれているのだから男は勝手だ。
自分も父親の仕事を手伝いながらストリートミュージシャンで小銭を稼ぐ身なのに、
彼女に突然ピアノをプレゼントしちゃうし。お金はどこから・・・? ちょっと非現実的だ。
そういえば、この2人に名前はなかった。“guy”と“girl”。街角で出会った誰でもない
2人の話ってことかな。
ミニシアターとはいえほぼ満員だった。
主演の人はアイルランドでは人気のバンドのリーダーらしい。日本でも有名なのかしら。
歌は頭に残るけれど、何となくみんな似た感じだと思った。
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『アイ・イン・ザ・スカイ(原題)』
(原題『跟蹤』 / 2007年 / 香港映画 / 90分)
監督=ヤウ・ナイホイ(游乃海)
出演=サイモン・ヤム(任達華)、レオン・カーファイ(梁家輝)、ケイト・ツイ(徐子珊)
有楽町朝日ホール(東京フィルメックス)にて
【感想】 いやー、この間の「放・逐」に勝るとも劣らない面白さ。
ヤウ・ナイホイはジョニー・トー作品の脚本をたくさん手がけていて、今回が初監督
だとか。
原題の“跟蹤” は“尾行”の意味、英語タイトルの“EYE IN THE SKY”は、映画の
中でも使われていたけれど、すべてを見渡す天上の目のことだそうだ。
その「天上の目」を表すためか、屋上などに上って下を見下ろす場面が多く見られた。
本当に見渡せるということがわかって面白かった。
最近よくサイモン・ヤムが出る映画を見るけれど、これは秀逸だったと思う。
最初は誰だかわからなかった。
おなかの出た(詰め物というのは一目瞭然だったけど)、背中の丸まった中年の
おじさん。でも頭脳は鋭く、後輩への気配りもある。
尾行相手に詰め寄られ、うまくかわした新人へ向けた「よくやった」の笑顔は本当に
よかった。
一方で、レオン・カーファイは最近ちょっとキレた役が多いような気がする。
ここでも一見インテリ(数独やってた!)なのに、キレると歯止めがきかない。
頭がいいだけに始末が悪いかも。
それにしても尾行担当チームがあって、街のあちこちにいろいろな扮装をして紛れ
込んでいるのは見事だったけど、怖かった。実際にあるのだろうか。
通行人(単独、カップル)はもちろん、作業員、売店の店員、あっちもこっちも尾行
チームの警官だなんて。
犯人との対決だけではなく、新人の成長物語としてもうまく描けてた。
大当たりの映画だった。
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『四大天王』
(原題『四大天王』 / 2006年 / 香港映画 / 83分)
監督=呉彦祖(ダニエル・ウー)
出演=呉彦祖(ダニエル・ウー)、尹子維(テレンス・イン)、連凱(アンドリュー・リン)、
陳子聰(コンロイ・チャン)
ムービル(中国映画祭2007)にて
【感想】 昨年、東京国際映画祭で上映されたのだけど、時間が合わなくて見ることが
できなかった。1年たってやっとチャンスが来た。
監督&主演のダニエル・ウーと俳優仲間たちがボーイズバンドを作って歌手デビュー
しよう、という思いつきからデビューまでの経過を追ったセミ・ドキュメンタリー。
どこまで脚本があって、どこまでドキュメンタリーか、まったくわからないところがすごい。
臨場感を出すために、実際にバンド(といっても演奏はなし)を組んで、映画の話は
公言しないまま、マスコミやファンをも巻き込んで、新人のデビューの流れを見せてくれる。
まったく知らないで見ていたら、こちらもだまされるところだ。
実際、2年くらい前に、スカパー中国語チャンネルの芸能ニュースで彼らのイベントの
ニュースを見て、ダニエルはいつの間にか歌手デビューもしていたんだなあ、と思って
いた。それがいつしか立ち消えたら、映画となって登場したのだった。
だから私もだまされた一人なわけだ。
契約(やっぱり契約書は全部ちゃんと読まなくちゃいけない、と思った)、レッスン、
仲間割れ、などなど、本当のドキュメンタリーを見ているようだった。
最後の落ち着き先は、現実とは全然違うけれど。
また、途中で香港の有名な歌手が今の音楽界を語るインタビューが何度も流れて、
それは本音を語っていたと思うので興味深かった。
それにしても、あの衣装はないよなあ・・・
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『スーツケース』
(原題『箱子』 / 2006年 / 中国映画 / 90分)
監督=王分(ワン・フェン)
出演=伍宇娟(ウー・ユージュエン)、呉剛(ウー・ガン)
ムービル(中国映画祭2007)にて
【感想】 冒頭のラジオ放送は本編にどんな意味があったのか、字幕をちゃんと見て
いなかったので、悔やまれるところ。でも映画自体は面白かった。
これはサスペンスになるのかなあ?
田舎の小さな旅館の経営者夫婦。とはいえ妻が経営者で夫が手伝い、完全に尻に
しかれている様子。
ある朝、川にスーツケースが流れているのを見つけた夫が、こっそり拾い上げて
自分の温室に隠すのだけど、その中にはバラバラにして氷づけにした死体が・・・!
自分が殺したわけでもないのに(また川に捨てれば済む話なのに)、それを妻に
ばれないようにしようとあせる夫。
そして妻の留守中にやってきた謎の夫婦連れ。その奥さんの美しさに嫉妬する妻。
なんだか2時間ドラマのサスペンスという感じの筋書きだけど、実はこの夫は殺人を
犯したわけじゃない、とこちらが知っている安心感がある。
それでも妻にばれるのではないか、警察がやってくるのではないか(妻の弟は警官)、
あの美しい人妻とはどうなるのか、とドキドキはつづく。
さらに、麗江の小さな村の川沿いの宿なので、村の雰囲気もとてもいい。
そして驚く展開。
最後に落ち着く先は・・・そう来たか、という感じ。なるほどね。
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『恋するふたり』
(原題『米尼』 / 2006年 / 中国映画 / 99分)
監督=金琛(ジヌ・チェヌ)
出演=李心潔(アンジェリカ・リー)、劉燁(リウ・イエ)
ムービル(中国映画祭2007)にて
【感想】 この邦題はちょっとサギ。どんな可愛いライブコメディかと思ったら・・・
原題の米尼というのは主人公の女の子の名前=ミニー。
ミニーは雑技団のスターで、彼女のパトロンになりたいという金持ちもいるけれど
それにはなびかない。
そして偶然知り合った街の小さなDVD屋の青年と恋に落ちる。
ところがこの青年はスリもやっていて、彼女のパトロンになりたがった男の財布を
すったところで捕まってしまう。
持って行き方によっては、ハッピーエンドにもできるし、悲劇にもできる展開だ。
刑務所から出てきた男とミニーはささやかながら幸せな日々を送る。
この流れはとても微笑ましくてよかった。
でもこのまま終わらせないのが中国映画だ。なぜか救われない悲劇を好む。
ドラマを見ていても、数十回の長丁場、最終回ですべてが台無しの大悲劇、という
終わり方も少なくない。
友達との間で、去年だったか、東京国際映画で見た『不完全恋人』を同じだね、と
意見が合った。
あれも途中まで(というより終盤まで)とってもいい感じで展開していたのに、最後の
最後に「それはないだろう」という救いがたい幕切れを迎えたのだった。
ありえない無理やりのハッピーエンドもイヤだけど、何もここまで打ちのめさなくても
いいでしょう、という悲しい、あっけにとられてしまうラストだった。
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『誘拐ゲーム』
(原題『綁架』 / 2007年 / 香港映画 / 97分)
監督=羅志良(ロー・チーリョン)
出演=劉若英(レネ・リュウ)、林嘉欣(カリーナ・ラム)、郭涛(グォ・タオ)
ムービル(中国映画祭2007)にて
【感想】 これも面白かった。
中国語タイトルは「綁架」、英語タイトルは「Kidnapp」と、どちらも「誘拐」とそのもの
ズバリなのに、日本ではそれに「ゲーム」がつくのはどうしてかな。
確かに途中で騙し騙されの「ゲーム」感覚にはなっていたけれど。
金持ちの子どもと間違われて、普通の家の子が誘拐されてしまう、というのは日本でも
あった気がする。それはどういう展開の映画なのか知らないけれど、この「誘拐ゲーム」の
面白かったところは、間違って誘拐されたのが、事件を指揮する警察のリーダーの
子どもだったところだ。
刑事が、捜索側であると同時に、被害者にもなり、その辺の心の揺れ方をレネ・リュウは
うまく演じていたと思う。
犯人役のカリーナ・ラムも、以前の印象と違って、冷酷な犯人をうまく演じていた。
以前は可愛いだけという印象だったのだけど、これから見方が変わると思う。
こういう犯罪はひとりでできるものでもなく、それを“手伝う”人が出ることでお金のこと
とか、いろいろ、思惑通りには行かなくなるところが、辛い。
そして、狙われる“金持ち”は中国内地から来た人。これも時代を映していると思う。
それにしても、どうして香港の人は携帯電話をマナーモードにしないだろう。
ほかの映画でも、犯人のあとをつけているときに、突然携帯が鳴って、気づかれて
しまうということがあったし、ここでも駐車場で突然携帯が鳴った。特に警察なんて、
隠密行動しなければいけないことが多いはずなのに。
そこでサスペンスが盛り上がるといえば、そうかもしれないけど、マナーモードに
慣れている日本人としては、どうも腑に落ちないのだ。
でも、この映画は本当に面白かった。見られてよかった。
ちゃんと公開してくれたらいいな。
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『ぼくの最後の恋人』
(原題『千杯不酔』 / 2005年 / 香港映画 / 101分)
監督=爾冬陞(イー・トンシン)
出演=呉彦祖(ダニエル・ウー)、楊千[女華](ミリアム・ヨン)、方中信(アレックス・フォン)
ムービル(中国映画祭2007)にて
【感想】 なんと安っぽいタイトル。
原題は「1000倍飲んでも酔わない」。酒豪の女性の話なのだ。それがぼくの最後の
恋人になるわけで。
飲み屋を回るビールのキャンペーンガールと、閑古鳥が鳴くフランス料理店のオーナー
シェフ、ひょんなことから知り合い、店を一緒にやり、同居し、当然ながらお互いに意識し
始め、と単純なラブストーリー。
シェフの引き抜きがあり(この前に見た「誘拐ゲーム」同様、中国内地の金持ち)、2人の
仲も危うくなり・・・でもタイトルどおりなのだ。
シェフが酔うと、昔の彼女に対するセリフ(だと思う)を言うのだけど、それが誰で、どんな
いきさつがあったのかは、語られないままだった。
もしかしたら冗長になりすぎて、カットされたのかもしれない。
私の中でアレックス・フォンは結構カタブツな男というイメージがあったので、今回の
チンピラみたいな役は意外で、それも楽しかった。
全体的にとっても軽いコメディだったので、肩の力を抜いて見ることができて、それなりに
楽しかった。何しろ10月の終わりからいくつもの映画祭があり、昨日今日の2日間で5本
見て、かなり疲れていたから。
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